光トランシーバーのデータシートには様々なパラメーターの数値が記載されていますが、一番重要なのは送信出力と受信感度でしょう。単純な計算では送信出力から伝送ロスを引いても受信感度より高い値であれば伝送可能です。

送信出力 - 伝送ロス > 受信感度

しかしデータシートには、光の強さとしてOMA(Optical Modulation Amplitude)とAVP(Average Power)二つの単位で表記されています。OMAとは信号のON/OFFの差の大きさで、受信側で信号が再生できるかはこの値が重要です。しかし、単純なパワーメーターでは測定できません。それに対し、AVPはパワーメーターで簡易に測定可能で光トランシーバー内蔵のDDMが示す値もこちらです。

OMA = P1 - P0

AVP = (P1+p0)/2

ER=P1/P0

 

実際の運用としては、出荷検査等の測定器が整った環境ではOMAを測定し基準値内であることを確認し、運用の現場ではAVPを利用する事になります。残念ながらAVPだけでは光トランシーバー自体の不良の切り分けは出来ませんが、伝送路の状況を判断するには十分です。

時々、DDMの値とデータシートOMAを比較した問い合わせをいただくことがあります。両方ともdBmなのが混同しやすい原因でしょう。

受信の上限とアッテネータの必要性

基本的な事項ですが、関連したテーマとして受信の上限についても記述します。

最大送信出力-伝送ロス < 最大受信レベル

信号は強すぎても正常に通信できません、極端に強すぎる場合は受信素子を痛める可能性もあります。IEEE802.3の一般的なSR/DR/FR/LRでは伝送ロスがゼロ、つまり受信と送信を直接接続するloop back接続をしても最大受信レベルを超えない仕様になっていますので気にする必要はありません。

しかし、ERやBiDiの10kmを超える長距離製品ではloop backはもちろん敷設したファイバー経由であっても受信限界を超える可能性がありますので接続前に必ずパワーメーターで受信レベルを測定する事を習慣付けて下さい。上限を超える場合はアッテネータを挿入する必要がありますので、パワーメーターと一緒にアッテネータも常備すると良いでしょう。3dBの物を複数あれば十分です。

消光比 = ER
Calculation results in the Table
OMA(dBm)   0 1.92 2.92 3.92 6.92  
AVP(dBm) ER=∞ -3.01 -1.09 -0.09 0.91 3.91  
ER=8 -1.92 0.00 1.00 2.00 5.00  
ER=4 -079 2.13 2.13 3.13 6.13  

 

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