良い発光レーザーとは何でしょうか?通信用レーザーでは以下のような要素が評価基準となります。

  1. 出力
  2. 安定度
  3. 消光比
  4. スプリアス
  5. 反応速度
  6. 直線性

出力

これは単純で、少ない消費電力で発熱も少なく高出力のレーザーが良い部品です。近距離通信用のO band(1310nm近辺)の波長では従来はそれほど高出力なものは必要ありませんでしたが。最近は光分岐型のDRやCPOのELSFP用(所謂SiPh対応)に高出力なものが必要になってきています。

安定度

主に温度変化で出力と波長が変化しない事です。もっとも基本的な物理特性として温度変化で波長変化を避けることは難しく、特に波長間隔が狭いLAN WDM方式の100G LR4では温度保証を行なって波長を安定されるTEC(Thermoelectric Controller)回路が必要となるのが一般的です。

CWDM方式ではTECが不要な分、消費電力とコストでは有利ですが伝送特性は不利になります。

消光比

運用の現場ではレーザーの正常確認としてAVP(Avarage power)を用いますが、仕様としてはOMA(Optical Modulation Amplitude)が重要です。つまり受信側で信号のONとOFFが判断できる差の値です。これはレーザー素子によってはOFF状態でも若干の発光があり完全に光としての出力がゼロにならないからです。運用中の故障劣化を判断するにはAVPで十分です。

スプリアス

目的の波長以外に出力のピークがあること。光スペクトラムアナライザー(OSA)でSMSR (Side Mode Suppression Ratio)として測定します。受信側では一般に波長の区別はなくある一定の幅広い波長範囲のパワーを検出します。伝送特性は波長の差を大きく受けますので本来の波長とは違う信号が受信側に到達すると信号が混じって判別ができません。レーザー素子には波長を決定する被膜が加工されていますがこの膜の劣化によってSMSRが悪化することがあります。

幅(FWHM)

ピュアに目的の波長だけが出力されることはなく、必ず”幅”があります。この幅が狭いほど波長の違いによる伝送特性の差を影響を受けないので、変化なく受信側に到達します。

反応速度

入力された電気信号の変化に遅れなく光の出力が変化すること。レスポンスタイム。転送速度が高速になるということは信号の変化速度が速くなるわけですからこれに追従する必要があります。これは受信側にも同等の反応速度が必要です。

直線性

入力の強さが直線的に出力の強さに反映されることです。ONとOFFしか判別しないNRZ方式ではあまり重要ではなかったのですが、PAM4やコヒーレントではとても重要な要素です。PAM4では半分の強さの判別を行いますので重要なのです。

素子の実力と仕様策定の時間差

IEEE等で策定されている仕様には実際にどのような構造の素子を仕様するかは明記されていません。もちろん、仕様を策定した当時は実現可能な素子が想定されてはいますが時間の経過によって素子の性能は向上します。

判りやすい例では、100GBASE-LR4はEML素子+TECを想定して仕様は策定されています。しかし、2026年現在ではDML+TECで仕様書に書かれている数値を達成できます。

100GBASE-ER4Lは、消費電力がCFP想定のSOAではQSFP28の許容上限を超えてしまうためより低いAPDを受信側に使用し仕様上の保証距離を短くしたものですが。SOAでも消費電力が収まる用になったためQSFP28 100G ER4対応製品が登場しています。

マルチモードの伝送距離も、仕様書の策定当時よりもレーザーの出力幅が狭くなった事により保証可能な距離が伸びています。ExtendSR4とかが独自仕様として登場しています。

  • 2014年当時SOAは14db gain2.5Wの消費電力
  • EML vs DML+SiPh

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March 17, 2026 • 10:41AM

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